
外部PMOの活用が社内でほぼ固まり、次は予算取り。ところが支援会社に聞けば「体制次第です」と返され、検索すれば月額60万円から300万円超まで数字がバラバラで、稟議に書ける金額がつかめない——この記事は、そういう状況の発注側担当者に向けて書いています。結論から言うと、PMO外注の費用はコンサルタント1名・フル稼働で月額おおむね60万〜350万円のレンジに分布し、この幅は「誰に・どのレイヤーの仕事を・どれだけの稼働で」頼むかでほぼ説明がつきます。僕は金融系SIerのシンプレクスで受注側のPMとして、見積をつくり、レビューする側に長くいました。だからこそ言えるのは、相場の数字を眺めるより、見積書の中身を分解して読めるようになるほうが、予算化にも交渉にもずっと効くということです。この記事ではその両方を扱います。
まず全体像から。PMO外注・業務委託の月額単価は、依頼先のタイプでおおよそ次のレンジに収まります。1名がフル稼働(週5日相当)した場合の目安です。
| 依頼先のタイプ | 月額単価の目安(1名・フル稼働) | 特徴 |
|---|---|---|
| 大手総合コンサルファーム | 200万〜350万円 | 経営レイヤーの上流から大規模PMOまで。体制は厚いが単価は最上位 |
| PMO専門・中堅コンサル会社 | 120万〜200万円 | PMO実務に特化。実行支援の密度で選ばれる |
| 中小・独立系の支援会社 | 80万〜150万円 | 会社の品質担保つきで単価を抑えられる中間解 |
| フリーランス(エージェント経由) | 60万〜150万円 | スキルの幅が大きい。エージェントのマージン込み |
| フリーランス(直接契約) | 50万〜120万円 | 最も安いが、目利きとリスクは発注側が全部負う |
時期・地域・スキル要件で上下しますから、あくまで市場でよく見かけるレンジとして捉えてください。また、この単価差の背景には依頼先ごとの業務範囲や支援形態の違いがあります。そもそも代行サービスに何をどこまで任せられるのか(業務範囲と支援形態)は、別記事で整理しています。
依頼先タイプと並ぶもう一つの変数が、PMOに任せる仕事のレイヤーです。
見積の単価が想定より高いと感じたら、まず「どのレイヤーの人が来る想定か」を確認する。事務局型の仕事に戦略型の単価を払うのはもったいないし、逆に推進役が欲しいのに事務局型の単価で探すと、来た人が期待に届かず「高い買い物」になります。
会社経由とフリーランス直接で単価が倍近く違うのを見ると、「同じ人が来るなら安いほうが得では」と思いますよね。僕も発注側に立つときは同じことを考えます。ただ、会社への発注で払っているのは担当者の時給だけではありません。担当者の後ろにある品質管理の仕組み、社内ナレッジ、トラブル時の交代要員、営業・管理コスト。それらを含めた「外れにくさ」の値段です。フリーランスはこの構造がない分安く、当たれば会社経由より高いパフォーマンスも出ますが、外れたときのリカバリーは発注側の仕事になる。どちらが得かは単価ではなく、自社に目利きと受け入れ体制があるかで決まります。なお、支援会社をどう比較して選ぶかという論点自体は本記事では踏み込まず、費用の見方に絞ります。
「単価はわかったが、結局うちの案件だと総額いくら見ておけばいいのか」。稟議で必要なのはこちらでしょう。プロジェクトの総予算規模別に、よくあるPMO体制と月額費用の目安を並べます。
| プロジェクト規模(総予算) | よくあるPMO体制 | 月額費用の目安 |
|---|---|---|
| 〜3,000万円 | 週1〜2日のスポット・伴走支援 | 20万〜60万円 |
| 3,000万〜1億円 | 1名・週3日〜フル稼働 | 80万〜150万円 |
| 1億〜3億円 | 1〜2名体制 | 150万〜300万円 |
| 3億円超 | PMOチーム(2〜5名) | 300万〜800万円 |
一般に、プロジェクト総予算の5〜10%程度をマネジメントに充てるという考え方が目安として語られます。
これを「管理のための間接費」と見るか「投資」と見るかで、予算の置き方は変わります。僕の持論ですが、3億円以下くらいのプロジェクトなら、計画を立て切りさえすれば大コケすることはあまりありません。システム開発の成功率は3割と言われるほど世の中のプロジェクトは燃えているのに、です。やること・やらないことを全部洗い出して計画に落とし切る——PMO費用の大半は、この「立て切る」ための人件費だと僕は捉えています。計画にはコストがかかりますが、その分だけ品質が上がる。ここをケチって計画が甘いまま走り出すと、後述するとおり、事後対処のコストは事前の3〜5倍になって返ってきます。
PMO外注の料金体系は、大きく3つに分かれます。
継続支援は月額型、まず小さく試すなら時間単価型か成果物型、という使い分けが実務的です。
月額単価の中身は、担当者の人件費に加えて、会社の品質管理・バックオフィス・営業コストが乗ったものです。エージェント経由のフリーランスであれば、1〜3割程度と言われるマージンが含まれます。加えて、見積の外に置かれやすい費目がある。交通費・出張費、ツールやライセンスの費用、想定外の会議体対応の追加稼働などは「別途実費」となっているケースが多く、ここを見落とすと予算超過の火種になります。
もう一つ、発注側が必ず押さえるべきなのが稼働率です。同じ「月額80万円」でも、100%稼働の80万円と50%稼働の80万円では時間単価が倍違う。月額の総額だけを横並びにするのではなく、「単価×稼働率」に分解して比較する。これだけで見積比較の解像度は一段上がります。なお、料金体系は契約形態と表裏一体の関係にあります。準委任・派遣・請負の違いや偽装請負リスクの整理は契約形態を扱った別記事に譲りますが、契約直前には法務を交えた確認をおすすめします。
相見積もりを取ると、必ず金額差が出ます。そのとき安いほうに飛びつく前に見てほしいポイントを、受注側で見積をつくってきた立場から挙げます。前提として、見積という業務の怖さを僕はYouTubeでこう話しました。
format_quote見積もりでミスってしまうと、その後どんだけ頑張ってもプロジェクトって失敗しちゃうんですよね。
これは受注側だけの話ではありません。精度の低い見積を選んでしまった発注側も、後から追加費用や遅延という形で必ず巻き込まれます。だからこそ、金額の大小より先に見積の「つくられ方」を見るべきなんです。
何をやるか、そして何をやらないか。この前提が書かれていない見積は、金額がいくら安くても比較のしようがありません。「課題管理はやるが、課題の解決実行はどちらの責任か」「経営報告資料はどちらがつくるか」。境界が曖昧な見積は、着任後に「それはスコープ外です」の応酬になります。
見積には、過去の類似案件から類推する概算のやり方と、必要なタスクを全部洗い出して一つずつ積む「積み上げ方式」があります。動画でも話したとおりです。
format_quote積み上げ形式以外の見積もり方法の何が悪いかと言うと、プロジェクトの新規性とか特殊性みたいなものを考慮しきれないというパターンがあるんですよね。
概算が悪いわけではなく、初期の費用感の把握には有効です。問題は、契約段階になっても概算のままの見積です。相見積もりで一社だけ妙に安いとき、その差はしばしば「精度の差」です。安いのではなく、まだ細かく考えられていないだけかもしれない——受注側で見積をレビューしてきた立場からは、まずその可能性を疑います。
先ほどの内訳の話と重なりますが、交通費・出張費・ツール費などの扱いは事前に確認すべきです。小さく見えて、積むと馬鹿にならない。僕自身、京都のクライアントに月次で通っていた頃の実費をこう計算したことがあります。
format_quote往復の新幹線で3万円、宿泊費で1万円なので、1回あたり4万円とかかかるんですよね。丸1年のプロジェクトだったとしたら、1人出張するだけで50万ぐらいかかる。
月額単価の横に小さく書かれた「諸経費別途」の一行が、年間で数十万〜百万円級の差になることがある。見積書の欄外まで読むのが発注側の仕事です。
これは意外と聞かれない質問ですが、効きます。「この見積はどなたがレビューされていますか」。僕は見積のセルフチェックについて、こう断言しています。
format_quoteこれをワンオペでやったら絶対ダメなんですよね。誰か必ず、これで足りてるのか、漏れがないのかをチェックしてくれるダブルチェッカーを用意して、必ず見てもらうようにしてください。
担当者一人の経験と勘だけでつくられた見積は、金額の妥当性以前に漏れのリスクを抱えています。組織としてのレビュープロセスを答えられる会社かどうかは、その後の支援品質を占うシグナルにもなる。こうした見積の中身の比較は、会社そのものの見極めとセットで行うと精度が上がります。支援会社を見極める観点は別記事にまとめています。見積のつくり方・チェックの観点は受注側向けに一本の動画にまとめていますが、発注側が「見抜く目」を持つためにも使えます。動画で詳しく知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。
「【見積①】誰でも高精度な見積が作れるチェックポイント10選」
相場より安く「買い叩く」のではなく、構造的にムダを削る方法を5つ挙げます。
一方で、やってはいけないのが単価だけを削る交渉です。単価を下げれば、来る人のレイヤーが下がるか、見えないところで稼働が削られるか、どちらかで帳尻が合わせられます。そして品質の低いマネジメントのツケは、後工程で表面化する。問題への事後対処のコストは、事前にケアするコストの3〜5倍かかるというのが僕の実感値です。PMO費用は典型的な「前始末」のコストであって、ここを削って浮いた金額は、後始末の請求書になって数倍で戻ってきます。費用は「抑える」だけでなく、払った分を最大限「使い切る」発想も欠かせません。その考え方はPMOコンサルの活用方法を扱った別記事で詳しく整理しています。
相場を調べて予算の枠を固める作業は、それ自体がプロジェクトの前始末の第一歩です。数字合わせで終わらせず、「この金額で、失敗確率を何で下げてもらうのか」まで言語化できれば、稟議は通りやすくなり、着任後のPMOも何倍も働きやすくなります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。
「相見積もりの金額差が大きすぎて、どちらが適正なのか判断できない」「何をどこまで頼むと総額いくらになるのか、稟議に書ける形にまとめられない」「いま契約している支援の費用が、稼働と成果に見合っているか検証したい」——このあたりで手が止まっているなら、一度お話ししませんか。
クリエイティブテックスタジオでは、受注側で見積をつくり続けてきた経験をもとに、お手元の見積書の前提・スコープ・単価構造を一緒に読み解くところからお手伝いしています。予算規模や課題を伺ったうえで、外部PMOが不要なケースや、他社のほうが適しているケースは、その旨も正直にお伝えします。
支援内容の詳細はPMO支援サービスを、費用感を含めた個別のご相談は無料相談からどうぞ。見積書を持ち込んでいただく形でのご相談も歓迎です。

この記事の執筆者
人見悠大
代表取締役
金融系SIerで社内最年少PMとしてQCD未達ゼロを達成後、株式会社クリエイティブテックスタジオを創業。PMO支援・DX推進を手がける。PMP・認定スクラムマスター。
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