PM育成・キャリア

PM人材不足はなぜ起きる?採用・育成・外部活用の3つの解決策を徹底比較

2026.09.17PM 人材不足プロジェクトマネージャー 不足プロジェクトマネジメント 人材不足

PM人材不足はなぜ起きる?採用・育成・外部活用の3つの解決策を徹底比較

来期の基幹システム刷新が決まった。DX案件も並行して走り出す。なのに、任せられるプロジェクトマネージャーが社内にいない——この記事を開いた方の多くは、いま似た状況にいるはずです。先に結論を言うと、PM人材不足の打ち手は「採用」「育成」「外部活用」の3つしかなく、どれか一つで解こうとするとほぼ行き詰まります。僕は金融系SIerのシンプレクスで受注側のPMを務め、いまは自分の会社でPMO支援とPM人材の育成を事業にしています。その経験から、そもそもなぜPMが足りなくなるのかという構造と、3つの打ち手の現実的な組み合わせ方を、発注側の目線で整理しました。

なぜPMは足りないのか——「採用できない」より根深い4つの構造

最初に押さえたいのは、PM人材不足はあなたの会社の怠慢ではない、ということです。需要側では、DX・基幹刷新・AI導入とプロジェクト型の仕事が増え続けている。システム開発の成功率は3割と言われる世界ですから、失敗を防げるPMの価値は上がる一方です。問題は供給側で、PMが育たない理由には少なくとも4つの構造があります。

原因1:マネジメントは「勉強しなくてもできる気になれる」スキルだから

プログラミングは、勉強しなければ一行も書けません。英語も、学習ゼロでは会話にならない。ところがマネジメントは違う。指示を出す、問題が起きたら対処する——どれも日常生活の延長でなんとなく形になってしまう。僕はYouTubeでこう話したことがあります。

マネジメントって、人に指示を出したりとか、問題が起こったときに解消していったりとか、なんとなく日常生活の延長線上にあるようなものに思えてしまうので、ちゃんと勉強しなくてもできるんじゃないかって、みんな結構思ってしまうんですね。

実際には、マネジメントはプログラミングや英語と比べても難易度の高い部類のスキルです。それなのに「学ばなくてもできる気になれる」せいで、体系的に学ぶ人が構造的に少ない。PM不足の一番深いところには、この認識のねじれがあると僕は考えています。

原因2:我流でも、小さいプロジェクトなら回ってしまうから

小規模な案件なら、地頭と腕力のある人が我流でマネジメントしても、なんとか形になります。本人も周囲も「あの人はPMができる」と認識する。でも、我流でなんとかうまくやっているPMは、常にうっすら燃えている状態だったり、成功に再現性がなかったりします。僕が今まで見てきて「この人はちゃんとプロジェクトマネジメントできる」と思えたPMは、本当に数少ない。

規模が大きくなっていくと、マネジメントスキルなくしてはもう絶対にうまくいかないんですよ。

つまり、社内の「PMを任せられる人リスト」に載っている人数と、大型案件を本当に任せられる人数の間には、見た目以上のギャップがあります。人材不足が大型案件の直前になって突然「発覚」するのは、このためです。

原因3:育成がOJT一本槍で、経験の運に左右されるから

多くの会社のPM育成は「案件に放り込んで覚えさせる」方式です。しかしプロジェクトは一品もので、どんな問題に遭遇するかは案件次第。つまりOJTだけの育成は、何が学べるかが運で決まります。

経験からだけ得たノウハウを蓄積してマネジメントをやるとどうなるかというと、経験していることしか分からないので、いろんな変化に対応できないというリスクがあります。

規模が変わる、顧客が変わる、作るシステムの性質が変わる。経験の暗記では対応できず、体系的な知識と経験を掛け算にする設計が要る。ところがその設計を持っている会社は少数派です。

原因4:採用市場に「完成品のPM」がほとんど流通しないから

考えてみれば当然で、プロジェクトをきちんと完遂できるPMを、いまの所属先が手放すはずがありません。しかもPMスキルは職務経歴書から判別しにくい。「PM経験10年」と書いてあっても、それが体系知に裏打ちされた10年なのか、うっすら燃えながらの10年なのかは、面接ではまず見抜けない。需要は増える、供給は育たない、育った人は市場に出てこない。三重の構造です。

解決策は3つしかない——採用・育成・外部活用の比較

打ち手を分解すると、採用(外から連れてくる)・育成(中で育てる)・外部活用(PMO支援やPM代行で借りる)の3つに行き着きます。それぞれ優劣ではなく、スピードと再現性のトレードオフが違うだけです。

観点採用(即戦力)育成(内製)外部活用(PMO支援・PM代行)
戦力化までの時間読めない(市場次第)年単位週〜月単位
コストの性質採用コスト+人件費が固定費化教育投資+教える人の時間委託費(変動費として調整可能)
組織に残るもの定着すれば大きい最も大きい(仕組みごと残る)設計しないと残らない
最大のリスクミスマッチ・見極め困難時間切れ・教えられる人の不在依存・契約終了で元に戻る
向くケース案件が恒常的にあり受け皿が整う会社中長期でプロジェクトが続く会社目の前の案件が待ったなしの会社

採用:最速に見えて、実は一番読めない

誤解のないように言うと、僕は採用を否定したいわけではありません。いい人に出会えるなら、それが一番早い。ただ、原因4で書いたとおり母集団が薄く、募集を出しても半年決まらない、という話は採用の現場でよく聞きます。さらに、ようやく採れた人が我流型のPMで、自社の大型案件では再現性を発揮できなかった——という二段目の落とし穴もあります。

もし面接で見極めるなら、経歴の長さより体系知の有無を確かめる質問が有効です。マネジメントに関する書籍を3冊以上読んでいるか。要件定義と設計の区分けを、自分の言葉で明確に説明できるか。プレイヤーとして手を動かして炎上を鎮火した武勇伝ばかりが出てこないか。どれも僕が動画で「残念なPMの特徴」として挙げたポイントの裏返しで、経歴書には出てこない差がここに表れます。それでも見極めの精度には限界があるので、採用は「出会えたら幸運」の枠として他の打ち手と並走させるのが現実的です。採用単独で今期の案件を救う計画は、計画と呼ばないほうがいい。

育成:最も確実に資産が残るが、時間がかかる

僕がよく使う比喩に牛角の話があります。牛角はマニュアルがあるから、バイト初日でも美味しい焼肉が作れる。プロジェクトマネジメントも同じで、体系化さえすれば、特別に頭のいい高度人材でなくても70点ぐらいの仕事はできるはずなんです。裏を返せば、体系がないままOJTに放り込む育成は、何年やっても再現性が生まれません。育成を機能させる条件は、体系知のインストールと実案件での実践をセットにすること。この条件を満たした育成は3つの打ち手の中で唯一、人が辞めても仕組みが残るという意味で組織の資産になります。なお、法人向けPMO研修の比較や費用相場については、別記事で詳しくまとめています。

外部活用:最速で立ち上がるが、設計しないと依存する

PMO支援やPM代行は、週〜月単位で体制が立ち上がる唯一の打ち手です。目の前の案件が待ったなしなら、まずこれで止血するしかありません。ただし丸投げすると、契約が切れた瞬間にすべて元に戻ります。費用相場や依頼方法の詳細は別の論点なのでここでは踏み込みませんが、押さえるべき原則は一つ。外部活用は時間を買う手段であって、自社の能力構築の代替ではない、ということです。

自社に合う組み合わせの見極め方

3つの打ち手のどれを主軸にするかは、次の3つの問いでほぼ決まります。

  1. 目の前の案件は待てるか——動き出しまでの猶予はどれくらいあるか
  2. 社内に「育てれば任せられる」候補はいるか——名前が具体的に挙がるか
  3. プロジェクトは今後も継続的に発生するか——単発か、恒常的か

この3つの答えの組み合わせで、現実解はだいたい次のように分かれます。

  • 待てない × 候補がいない:外部活用で急場をしのぐのが先。燃えてから育成を始めても間に合いません。前始末は後始末の3〜5倍安い、が僕の実感です
  • 待てない × 候補はいる:外部PM・PMOに回してもらいつつ、社内候補を専任で横につける。案件を進めながら育成が同時に走る、一番効率のいい形です
  • 待てる × 候補はいる:育成を主軸に、計画レビューなど要所だけ外部の目を入れる
  • 単発案件で今後の継続がない:内製投資は過剰です。外部で完結させてよく、無理に育成と絡める必要はありません

一つ補足すると、2番目の問いは「PMの経験者がいるか」ではありません。前の章で書いたとおり、体系知は後からインストールできます。探すべきは、関係者の間に立って話を整理できる、悪い情報を隠さず上げられる、といった素地のある人。プロジェクトマネージャーの不足を嘆く会社の中にも、この意味での候補者が埋もれているケースは少なくないというのが僕の実感です。

相談先に声をかける前に、次の4点だけ整理しておくと、どの会社と話すにしても検討が一気に速くなります。

  • 動いている・これから動く案件の本数と規模
  • PM候補者の名前と、その人の稼働をどれだけ空けられるか
  • 社内にプロジェクトマネジメントを教えられる人がいるか
  • 外部に任せたい範囲と、将来も社内に残したい範囲の線引き

外部活用が主軸になりそうな場合は、PM外注の費用相場や依頼先の選び方もあわせて押さえておくと、相談の場で条件のすり合わせが格段に速くなります。

外部活用から育成・内製へ移行する段階設計

僕が一番伝えたいのはここです。外部活用と育成は対立する選択肢ではなく、外部活用の期間は設計次第で最大の育成機会になります。段階は3つに分けるのが実践的です。

  • フェーズ1|回してもらう:外部PM・PMOが主担当としてプロジェクトを前に進める。このとき社内候補を必ず専任で横につける。ここを省くと、単に時間を買っただけで終わります
  • フェーズ2|判断を渡す:進行の主導権を社内候補に移し、外部は判断のレビューと補佐に回る。うまく進んでいるかの目安は、会議で口を開く回数が社内と外部で逆転することです
  • フェーズ3|スポットに引く:社内PMが主担当になり、外部は計画時と節目のレビューだけ。委託費は下がり、組織には人と仕組みが残ります

よくある失敗は、フェーズ1のまま契約だけが更新され続けるパターンです。委託側は居心地がよく、発注側も案件が回っているので危機感が薄れる。だから移行の期限と条件は、支援の開始時点で契約とは別に合意しておくべきです。「いつまでに、何ができたら、どの役割を社内に移すか」を最初に紙に落とせない支援会社なら、そもそも移行させる気がないと疑っていい。この外部依存から脱却していく段階設計をさらに具体化した手順は、PMO内製化の5ステップとして別記事で詳しく解説しています。

この段階設計を絵空事だと思わないのは、僕自身が育成の再現性を検証しているからです。この業界で本当に足りていないのはプロジェクトマネジメントに関わる人材で、即戦力のPMを採用してサービス提供するだけでは、PMのパイは増えず業界の課題解決になりません。だから僕は、未経験人材を体系的な知識でリスキリングしてPMに育てることに、お金が儲かる以上の意味を感じていますし、会社の第1号社員も、あえて未経験の人を雇って育成の再現性を検証しました。未経験からでも体系知と実践の場をセットにすれば戦力化できる。社内に素質のありそうな若手がいる会社なら、なおさら再現できるはずです。

PMがどこでつまずき、何を学べば最短で伸びるのか。残念なPMに共通する特徴という切り口で、動画でも話しています。詳しく知りたい方は、以下もあわせてご覧ください。

「残念なPMから優秀PMに最短で成長する方法」「残念なPMから優秀PMに最短で成長する方法」

まとめ:PM人材不足は「採るか育てるか」の二択ではない

  • PM人材不足は個社の怠慢ではなく、マネジメントが「勉強しなくてもできる気になれる」スキルであることが生む構造問題
  • 我流PMは小規模案件では回せてしまうため、大型案件の直前まで不足が「発覚」しない
  • 打ち手は採用・育成・外部活用の3つ。スピードと再現性のトレードオフが違うだけで、優劣はない
  • 待てない案件があるなら外部活用で目の前の案件を回し、社内候補を横につけて育成を並走させるのが現実解
  • 外部活用は時間を買う手段。判断を段階的に社内へ移す3フェーズの設計をセットにする

「人材不足」という言葉は、市場のどこかに正解の人材がいて、探し当てれば解決するかのように聞こえます。でも僕の見立てでは、足りていないのは人そのものではなく、人が育つ構造のほうです。人は探すものですが、構造は作るもの。そして構造づくりは、明日からでも始められます。


「任せられるPMがいない」を、体制の問題として一緒に解きませんか

「来期の大型案件が迫っているのに、任せられるPMが社内にいない」「若手を育てたいが、教えられる人がいない」「外部に頼むと、いつまでも自走できなくなりそうで不安」——PMO支援のご相談は、たいていこうした悩みから始まります。

クリエイティブテックスタジオは、PMO支援・PM代行と、PM人材の育成を両輪で提供しています。外部が入って終わりではなく、判断を社内に移していく段階設計まで含めてご提案するのが僕たちのやり方です。サービスの詳細はPMO支援サービスをご覧ください。

まずは、いまの案件状況と体制を伺って、採用・育成・外部活用のどの組み合わせが合理的かを一緒に整理するところからで構いません。検討の結果、外部活用よりも育成先行や他社のサービスが適していれば、その旨も正直にお伝えします。無料相談からお気軽にどうぞ。

人見悠大

この記事の執筆者

人見悠大

代表取締役

金融系SIerで社内最年少PMとしてQCD未達ゼロを達成後、株式会社クリエイティブテックスタジオを創業。PMO支援・DX推進を手がける。PMP・認定スクラムマスター。

プロフィールを見る →